【一般相対論】捩率条件と対称な接続

捩率条件と対称な接続

この記事では、一般相対論において用いられる接続に課せられる条件(捩率条件)と、その条件を満たす接続について解説する。

接続の変換則

時空上に共変微分を定義するために、接続 Γμνρ(x) が必要である。

座標変換に対する接続の変換則は、次のように与えられる。

接続の変換則
(1)Γμνρ(x)=xσxμxτxνxρxλΓστλ(x)xσxμxτxν2xρxτxσ

この変換則の導出は、こちらで詳しく説明されている。

反対称化された接続がテンソルになること

(1) より、接続は明らかにテンソルではない。

しかし、接続の下付き添字を反対称化したものはテンソルとして振る舞う

(2)Γ[μν]ρ(x)=xσx[μxτxν]xρxλΓστλ(x).

ここで、反対称化の記号を次のように定義した。

(3)Γ[μν]ρ(x)=12(Γμνρ(x)Γνμρ(x)).

文献によっては、係数の 1/2 が付いていない定義を使っていることもあるので注意が必要です

反対称化された接続がテンソルとして変換することの導出

(2) の導出を行う。

Γ[μν]ρ(x)=12(Γμνρ(x)Γνμρ(x))=12(xσxμxτxνxρxλΓστλ(x)xσxμxτxν2xρxτxσxσxνxτxμxρxλΓστλ(x)+xσxνxτxμ2xρxτxσ)=12(xσxμxτxνxρxλΓστλ(x)xσxμxτxν2xρxτxσxτxνxσxμxρxλΓτσλ(x)+xτxνxσxμ2xρxσxτ)=12(xσxμxτxνxρxλΓστλ(x)xσxμxτxν2xρxτxσxτxνxσxμxρxλΓτσλ(x)+xτxνxσxμ2xρxτxσ)=12xσxμxτxνxρxλ(Γστλ(x)Γτσλ(x))=xσxμxτxνxρxλΓ[στ]λ(x)(4)=xσx[μxτxν]xρxλΓστλ(x)

1つ目の等号では、反対称化の定義を用いた。

2つ目の等号では、(1) を用いた。

3つ目の等号では、第3項と第4項のダミー添字を付け替えた。

4つ目の等号では、偏微分が可換なことを用いて第4項を書き換えた。

これにより、第2項と第4項が互いにキャンセルすることがわかる。

あとは残った項を整理して反対称化の記号で表せば、(2) を導出できる。

捩率条件

接続の下付き添字を反対称化したものはテンソルとして振る舞うことがわかった。

等価原理により、我々が興味のある時空は、局所的には平坦な時空とみなせるような時空である。

つまり、任意の時空点において、局所的には接続をゼロとおくことができるはずである。

そして、Γ[μν]ρ(x) はテンソルなので、ある座標系でゼロならば、座標変換で任意の座標系に移ったとしても常にゼロとなる。

したがって、Γ[μν]ρ(x)=0 とする。

これを捩率条件という。

捩率条件
(5)Γ[μν]ρ(x)=0

接続の反対称部分がゼロということは、言い換えれば、下付き添字の入れ替えに関して対称な接続を考えるということである。

Γμνρ(x)=Γ(μν)ρ(x)(6)=12(Γμνρ(x)+Γνμρ(x)).

このような接続を対称な接続捩率のない接続という。

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