【一般相対論】等価原理・局所慣性系・一般相対性原理

地上に立っている観測者と自由落下する観測者を考えることで重力と慣性系の概念について再考し,それをもとに一般相対性原理を導入する.

目次

慣性質量と重力質量

Newton 力学の枠組みで重力について考える.

慣性系において,物体に働く力 $\boldsymbol{F}$ と加速度 $\boldsymbol{a}$ の関係は,運動方程式

\begin{align} m_{I}\boldsymbol{a}=\boldsymbol{F} \end{align}

で記述される.

このとき,比例係数 $m_{I}$ を慣性質量と呼ぶ.

慣性質量は,物体の加速しにくさを表す量であり,物体に働く力の種類には依存しない.

一方,物体に働く力が重力であるとき,

\begin{align} \boldsymbol{F}=m_{G}\boldsymbol{g} \end{align}

と表される.

ここで,比例係数 $m_{G}$ を重力質量と呼ぶ.

重力質量は,重力の法則に現れる量である.

弱い等価原理

一見すると,慣性質量と重力質量は全く異なる起源をもつ量である.

しかし,実験によれば,これらの比 $m_{G}/m_{I}$ は物体によらず一定であることが知られている.

したがって,慣性質量と重力質量の比例定数を 1 となるように単位を定めれば,

\begin{align}
m_{I}=m_{G}
\end{align}

と書くことができる.

これを弱い等価原理と呼ぶ.

実際,Eötvös (エトベッシュ)の実験では,

\begin{align}
\frac{|m_G-m_I|}{m_G}<10^{-12}
\end{align}

という精度で両者が等しいことが確認されている.

一般相対性原理の動機づけ

自由落下するエレベーターの中にいる慣性質量 $m_{I}$,重力質量 $m_{G}$ の観測者と,それを地上で見ている観測者を考える.

等価原理により、地上の観測者からみると、エレベーターとエレベーター内の観測者は同じ加速度で運動している。

地球の重力場による地上の重力加速度を $g$ とする.

このとき,地上の観測者の立場では,自分は重力と地表面からの抗力がつりあって静止した慣性系にいて,このエレベーターが下向きに重力 $F_{G}=m_{G}g$ を受けて運動しているように見える.

運動方程式より,このエレベーターの加速度 $a$ は,

\begin{equation}
a=\frac{F_{G}}{m_{I}}=\frac{m_{G}}{m_{I}}g
\end{equation}

となる.

よって,地上の観測者から見ると,エレベーターは加速度運動をしており,その中にいる観測者は非慣性系となる.

一方で,等価原理 $m_{G}=m_{I}$ が任意の物質に対して成り立つことから,エレベーターの中にいる観測者は,重力を感じずに「自分は静止している」と思うだろう.

つまり,エレベーター内の観測者は自身の系を慣性系と考えている.

そして,エレベーター内の観測者から見ると,地上の観測者は地表面からの抗力を受けて加速度運動する非慣性系にいると考えるだろう.

このように,重力は観測者によって存在したりしなかったりするため,慣性系の概念が曖昧になってしまう.

これを表にまとめると以下のようになる.

スクロールできます
基準自分相手
地上の観測者慣性系非慣性系
エレベーター内の観測者慣性系非慣性系

どちらの観測者も自分は慣性系にいて,相手が非慣性系(加速度系)にいると思っている.

一般相対性原理

この問題を解決するため,Einstein は重力を Newton 力学のような力として捉えることを放棄して,自由落下する観測者の系を局所的な慣性系とみなす,という考え方を導入した.

このような時空の局所的な領域における慣性系を局所慣性系という.

そして,局所慣性系では特殊相対論と同じ物理法則が成り立つと考えた.

1915年,Einstein は局所慣性系にまで物理法則の不変性を要求した一般相対性原理を提唱した.

一般相対性原理
  1. 物理法則は,すべての局所慣性系で同一である
  2. 真空中を伝播する光の速さは,すべての局所慣性系で同一である

なお,真空中を伝播する光の速さ $c$ は国際単位系において定義定数であり,$c=299792458\,\rm m/s$ と定められている.

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