数学や物理が好きな高校生にとって、進路選びって本当に迷いますよね。
私自身、高校では数学や物理が好きで、数学科か物理学科のどちらに進学するかをすごく悩みました。
結局、私は物理学科に進学することに決めて、全く後悔していません！
この記事では、数学ではなく物理学を専攻して良かったと思う理由を自分なりに整理して、お伝えします。
数学科と物理学科のどっちが自分に合っているかを考える参考にしていただければ幸いです。
数学科か物理学科かを選ぶための 3 つの質問
数学科か物理学科で迷っている高校生に向けて、3 つの質問を考えました。
- 計算が好きか？
- 自然現象が好きか？
- （自然を説明するための）論理のギャップがあっても許せるか？
これらの質問に「はい」か「いいえ」で答えて、「はい」の数が多いほど、物理学科が向いているかなと思います。
なぜなら、先ほどの 3 つの質問がそのまま、私が物理学科に進学して良かったと思う理由になっているからです。
詳しい理由をこれから説明します！
物理学を専攻して良かったと思う 3 つの理由
①計算することが好きだから
私は高校生のとき、数学も物理も好きでした。
数学の中では特に、微分法や積分法が好きで、たくさん計算をして答えを求めるのが楽しかったです。
大学数学では解析学と呼ばれる分野です
当時の担任の先生が数学科出身で、進路相談をしているときに次のようなことを言われました。
「高校の数学と大学の数学は違うよ？」
それを聞いて、オープンキャンパスの数学科と物理学科の模擬授業にそれぞれ参加したり、本屋で専門書を眺めたりしました。
高校生のときは計算して答えを出すのが好きだったので、力学で微分方程式を解いて物体の運動を求めるのが楽しそうだなと思いました。
当時は微分方程式を解くことはできませんでしたが、自分が好きな計算をたくさんできるんだ！と感じた記憶があります
一方で、オープンキャンパスで受けた数学科の模擬授業はトポロジーに関する授業でした。
模擬授業では高校数学とのギャップをすごく感じて、あまりワクワク感を感じませんでした。
当時はなんとなくそう思ったのですが、それを言語化するならば、
（内容がトポロジーだったのもあるのですが）「具体的な問題を解く」というより「抽象的な問題を考える」感じだったから
かなと思います。
高校における微分法や積分法のような、具体的な問題を解くのが好きな人は物理学科が向いているかもしれません。
②自然現象が好きだから
私は自然現象の中でも特に宇宙に興味があります。
高校生のときに日経サイエンスや Newton といった科学雑誌を呼んで、宇宙の始まりやブラックホールに興味を持ちました。
すごくワクワクする！！と思いました
振り返ってみると、小学生の頃は星座早見表を使って星空を眺めるのが好きで、その頃から宇宙や星に興味があったのだと思います。
物理学科では一般相対論や量子論を学ぶことができ、将来的にブラックホールに関する研究ができたり、宇宙の始まり（宇宙誕生やインフレーション、ビッグバンなど）に迫る研究ができたりします。
高校生（受験生）になると、将来のことを考えたり、周囲の目が気になったり、受験に受かることが目標になったりするかもしれませんが、
幼い頃に興味があったことや好きだったことを思い出してみると、自分が本当に進みたい進路が見えてくるかもしれません！
③（自然を説明するための）論理のギャップが許せるから
数学も物理学も論理的に考える力が重要です。
しかし、この 2 つには違いがあります。
- 数学は、定義から厳密に（一切の論理的なギャップなく）導かれる事実（定理や補題など）について議論します
- 物理学は、自然現象を説明するのが目標なので、ときには論理の飛躍を認めたり、数学的な厳密さを気にしないことがあります
数学は完全な理詰めで、物理学はそれよりも少しラフな感じです
例えば、物理学を学ぶ上で欠かせない「関数」として、Dirac のデルタ関数と呼ばれる「関数」があります。
適当な関数 \(f(x)\) に対して、
を満たす「関数」\(\delta(x)\) を Dirac のデルタ関数と言います
Dirac のデルタ関数は、例えば、力学における撃力や電磁気学における点電荷の電荷密度などを数式で表現する際に現れる「関数」です。
実は、Dirac のデルタ関数は、名前に「関数」が含まれますが、通常の関数ではなく、厳密には超関数と呼ばれるものです。
歴史的に Dirac が物理学の文脈でデルタ関数を導入したとき、数学では超関数という枠組みは定義されていませんでした。
つまり、
（当時）良く定義されていなかった「関数」を、自然を説明するために導入したということです
このように、自然を説明するために導入した何かがあとから数学的に厳密に定義される、ということがあり得ます。
さらに、物理においては、（数学的な厳密性には目をつぶり）Dirac のデルタ関数を通常の関数と同じように扱う（みなして計算する）ことが多いです。
このようなラフさを認められるかどうかが、物理学科で学ぶ上で意外と重要なのではないかと思います。
もちろん時には厳密に扱う必要がありますが、少なくとも学部レベルの物理学を理解するためには、デルタ関数は通常の関数と同じように扱って問題ないと思います
一方で、
一切の厳密性も欠きたくない！という方は物理学科よりも数学科が向いていると思います
最後に
この記事では、数学ではなく物理学を専攻して良かったと思う理由を説明しました。
数学科と物理学科で迷っている高校生はぜひ次の 3 つの質問を自分にしてみてください。
- 計算が好きか？
- 自然現象が好きか？
- （自然を説明するための）論理のギャップがあっても許せるか？
「はい」が多いほど、物理学科に向いているかもしれません！
ぜひ後悔のない進路選択ができることを祈っています
