【完全解説】自主ゼミで物理学の専門書を輪講する方法から注意点まで

自主ゼミの始め方や注意点
  • 自主ゼミ(輪講)をやりたいけど、どうやって人を集めたら良いんだろう?
  • 専門書はどのように選べば良いんだろう?
  • 自主ゼミ(輪講)の頻度や進め方は具体的にどうしたら良いんだろう?

この記事にたどり着いた皆さんは、きっと物理が大好きで、ひたすら物理に打ち込みたいと思っているのではないでしょうか?

私自身、学部生の頃には 10 個程度の自主ゼミに参加し、そのうち約半数は自ら企画しました。

この経験を活かして、そんな皆さんに、自主ゼミ(輪講)の始め方から具体的な進め方までを実体験を交えながら紹介します。

この記事における自主ゼミ(輪講)とは、有志の学生が専門書を回し読みする会のことです

目次

準備編:自主ゼミ(輪講)を始めるまで

自主ゼミ(輪講)の様子

ステップ 1 :自主ゼミで勉強したいテーマを決める

自主ゼミをやりたいと思ったら、まず、勉強したいテーマを決めましょう。

この時点では、ざっくりで大丈夫です。

「決める」というより「考えておく」くらいの方が適切かもしれません

ポイントは、仲間を集められるくらいにはテーマを絞ることです

例えば、

  • 何もわからないけど、とにかく量子力学を勉強したい!
  • 宇宙に興味があるから、先取りで一般相対論とか宇宙論とかを勉強したい!
  • 大学のカリキュラムにはないけど、数理物理っぽいことを勉強したい!

ある程度テーマの方向性を絞っておいた方が、そのテーマに関心のある人を集めやすく、充実した自主ゼミになりやすいです。

私の経験では、「何でも良いから物理をやりたい」のような感じで始まった自主ゼミはぐだぐだになってしまうことが多かったです

ステップ 2 :仲間を集める

自主ゼミで勉強したいテーマをざっくり決めることができたら、次に仲間を集めましょう。

仲間を集める方法は、

  • 講義の前後に募集する
  • 学科の LINE グループなどで呼びかける
  • 勉強系サークルで企画する

などがあります。

講義の前後であれば直接募集できるので、こちらの熱意が伝わりやすいだけでなく、LINE などで意思表明するのが苦手な学生にも参加してもらいやすいです。

また、その場で質問がしやすいのもポイントです。

いつからやるのー?何人集まったらやるのー?といった質問がくることがあります

これらの質問には、まず自分の考えを伝えて、興味を持ってくれた学生の希望も聞いておくと良いでしょう。

また、LINE グループなどできちんと文章で伝えるのも重要です。

そして、大学に自主ゼミサークルがある場合は、そこで企画・宣伝をするのも良いと思います。

異なる専攻の学生と議論するきっかけになりますし、それによって多角的な視点を得ることができます。

ちなみに、私の経験から、人数は 3 人から 6 人までの範囲に収めることをおすすめします。

自主ゼミの人数と特徴のまとめ

スクロールできます
人数特徴評価
2 人日程調整がしやすい
案外だらけてしまう
視野が狭くなりがち
負担が大きい

3 人日程調整がしやすい
全員がしっかり準備してくる
負担がやや大きい

5 人程度いろいろな議論が生まれやすい
各々の負担は少ないが、だらけにくい
日程調整がやや難しい

7 人以上負担がめっちゃ軽い
他人任せになってしまう

自主ゼミの人数と特徴

ステップ 3 :自主ゼミの方向性・スケジュール等を明確にする

ここまでで、自主ゼミのだいたいのテーマと参加者が決まりました。

ここからは参加者と相談しながら進めていきましょう!

実際に自主ゼミを始める前に、方向性とスケジュール等を決めておくことが大切です。

  • この自主ゼミの目標(到達点)は?
  • どのくらいの期間行うのか?
  • どれくらいの頻度で行うか?
  • メンターになってくれる先輩や先生はいるか?
  • どこでやるか

自主ゼミの目標に関しては、次のどちらを重視するのか決めておくと良いです。

  • 勉強するテーマを一通り概観するのか?(理解度は低いが、全体像が見えやすい)
  • すべての計算を追って、着実に理解するのか?(理解度が高いが、全体像が見えにくい)

予習の仕方や当日の内容に違いが出てくるので、ここの見解を一致させておくことは重要です

また、自主ゼミをどのくらいの期間行うのかについては、

  • 長期休暇に始めるなら、その休みが終わるまで
  • 授業期間中に始めるなら、試験期間の1週間前くらいまで

が良いと思います。

とにかく、大学のスケジュールが大きく変わるタイミングをまたぐのはおすすめしません

また、自主ゼミの頻度は週 1 回(曜日と時間は固定)をおすすめします

頻度が多すぎると負担が大きくなってしまいますが、少なすぎてもあまり身が入らないので、このくらいの頻度が良いと思います。

時間は 1 回あたり 2 から 3 時間くらい取れると良いですね

そして、メンターになってくれる先輩や先生がいるかどうかも重要です。

特に先取りで勉強しようとしている場合、間違った理解をしないために、可能であれば先輩や先生に見てもらうのがおすすめです

最後に、自主ゼミをやる場所ですが、

  • 図書館などのホワイトボードが使えるスペース
  • 空き教室
  • メンターの先輩や先生が所属する研究室のゼミ室
  • 参加者の誰かの家(ホワイトボードがあれば…)

あたりから、状況に応じて一番最適な場所を選ぶと良いと思います。

ステップ 4 :輪講する専門書・範囲・発表者を決める

ここまでで、だいたいのテーマ・参加者・方向性・スケジュール・場所が決まりました。

これから具体的にどのような専門書や文献を輪講するのかを決めていき、テーマを明確にします。

先ほど指摘した以下の 4 つの項目を踏まえて、何を読むのか決めるのがおすすめです。

  • この自主ゼミの目標(到達点)は?
  • どのくらいの期間行うのか?
  • どれくらいの頻度で行うか?
  • メンターになってくれる先輩や先生はいるか?

例えば、自主ゼミの目標を、「みんなが全く知らないテーマだから、全体像を把握すること」とした場合、名著にこだわるより勉強するテーマが広く浅く書いてある専門書を選ぶと満足度が高くなりやすいですし、

「冬休みで時間が 2 週間しかない!」というような場合は、特定のトピックに特化した専門書(あるいは網羅的な専門書の一部)を選択すると充実した自主ゼミになりやすいです。

また、メンターになってくれる先輩や先生が見つかった場合、何を読んだら良いか聞いてみるのもおすすめです。

輪講する専門書が決まったら、どの範囲を読むのか、誰が発表するのかを決めます。

専門書の難易度に依りますが、

1 回 2 時間で 5 ページから 20ページくらい進む

と想定して、自主ゼミを行う期間や目標とのバランスを取るのがおすすめです。

じっくり進む場合 5 ページくらいで、さらっと進む場合 20 ページ弱くらいのイメージです

そして、発表者の分担は節や小節ごと( 10 ページ前後)に参加者でローテーションすると良いと思います。

特定の人に負担がかかりすぎないように、参加者同士で相談しながら決めていきましょう。

実践編:自主ゼミ(輪講)の進め方

自主ゼミ(輪講)の様子

ここからは、実際にどのように自主ゼミを進めていくのかについて説明します。

ステップ 1 :予習をする

発表するかどうかに関わらず、次回の自主ゼミで扱う範囲の予習をします。

予習の仕方は人それぞれですが、以下のポイントを意識するのがおすすめです。

  • 予習をする際は、必ず紙とペン(電子でも可)を準備する
  • 論理展開を整理したり、疑問点を明確にしたりする
  • 途中計算や行間をできる限り埋める

自主ゼミが進んでいくと予習をサボりやすいので、意識的に気を引き締めるのが大切です!

ステップ 2 :担当者は発表をし、ほかの参加者は適宜質問や議論を投げかける

自主ゼミ当日は、発表者がホワイトボード(または黒板)の前で担当の範囲を発表していきます。

それを聞いているほかの参加者は、

  • 発表に対して、質問や疑問を投げかける
  • 予習のときに出た疑問点を投げかける

などで積極的に自主ゼミに参加しましょう。

座っているだけでも多少は勉強になりますが、能動的に発言することが大切です

議論の活発さがその自主ゼミの充実度に大きく影響するので、ここは参加者全員が心がけると良いポイントです。

自主ゼミ(輪講)を行う際の注意点

自主ゼミ(輪講)を行う際は次のようなことに注意すると良いと思います。

  • (少なくとも自分の担当分は)責任を持ってやり抜く
  • 些細な疑問であっても質問する
  • 他の参加者に対して敬意を持って接する

注意点 1 :(少なくとも自分の担当分は)責任を持ってやり抜く

自主ゼミは誰かから頼まれてやるものではないので、どうしても気が緩んでしまうことがあると思います。

しかし、参加すると決めたのは自分なので、(少なくとも自分の担当分は)責任を持ってやり抜くという意識で行うことが大切かと思います。

ただし、他の参加者の了解が得られれば、担当を変わってもらったり、量を減らしてもらったりしても良いかもしれません

あくまで有志で行うものなので、意欲的な学生が発表を引き受けてくれることもあると思います。

ある程度の緊張感を持ちながら、和気あいあいと議論できたら、きっとその時間はかけがえのないものになります

助け合いながら、自主ゼミを進めていきましょう。

注意点 2 :些細な疑問であっても質問する

講義中に積極的に発言や質問をできる学生は少ないかもしれません。

しかし、自主ゼミでは、どんな些細な疑問であっても積極的に質問していきましょう。

自主ゼミを開く意義は、ここにあると言っても過言ではありません!

自主ゼミは講義より少人数で、質問がしやすい環境です。

ぜひ積極的に議論を投げかけて、充実した時間を過ごしましょう。

実際私も、

ごめん、ここやっぱりよくわからないんだけど、もう一回説明してもらってもいい?

などと言って何度も発表を止めてしまったことがありましたが、みんないつも優しく教えてくれました(みんなありがとう)。

注意点 3 :他の参加者に対して敬意を持って接する

先ほどのエピソードに関連して、自主ゼミを行う際には、

他の参加者に対して敬意を持って接する

のが非常に大切です。

どんな些細な疑問であっても、参加者全員で議論して解決する

わからないところは、わかっている人が丁寧にとことん教えてあげる

そんな姿勢が自主ゼミでは非常に大切だと思います。

みんなで助け合いながら、物理学を楽しみましょう!

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